ピルにはどのような種類があるの?低用量ピルの比較表|ピルと避妊

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ピルにはどのような種類があるの?低用量ピルの比較表

ピルの種類は様々ありますが、ピル錠剤の中に含まれている卵胞ホルモン量によって、超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピル、その他のピル、に分類するのがわかりやすい方法になります。その中で使用頻度の高いのは低用量ピルで、低用量ピルの種類は使用目的によって避妊薬ピルと治療薬ピルに分類されます。さらにピル錠剤に含まれる黄体ホルモンの種類(世代)や、相性によっても分類されます。そのため、ピルの種類と分類について知っておくことはピル服用に有益です。

ピルの4つの種類 

産婦人科領域でピルとは、広義には人工のエストロゲンとプロゲステロンの合剤を意味します。ピル製剤の分類には、ピルの錠剤の中に含まれているホルモンの含有量による分類法が最もわかりやすい方法として採用されています。

●ピルとは?

産婦人科領域でピルとは、広義には合成の卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤のことで、狭義には避妊薬を指します。

●ピルの中に含まれる女性ホルモンの分量による分類

ピル錠剤のなかに含まれるエストロゲンの分量によって、超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピルの3つに分類され、それ以外を、その他のピル、として4つの種類に分類して解説します。

<超低用量ピル>
卵胞ホルモン(エストロゲン)の配合量が1錠あたり30μg(0.03mg)より少ないピルが該当します。
避妊目的や生理予定日移動では効果が弱いため使用されることは少なく、月経困難症や子宮内膜症に伴う生理痛の改善等の治療目的で使用することが多いです。
ルナベル配合錠ULD、フリウェル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ヤーズフレックス配合錠、ドロエチ配合錠、がこれに当たります。

<低用量ピル>
1錠あたりのエストロゲン配合量が30μg~50μg(0.03mg~0.05mg)のピルになります。ピルの中では最も広く使用されています。
毎日正しい服用方法で内服することで、排卵の抑制、精子の子宮内への侵入を阻止、受精卵の着床を阻止する3つの作用で高い避妊効果を発揮します。他にも、月経痛やPMSの改善、生理の出血量減少(子宮内膜の肥厚を抑制)、体内のホルモンバランスが整い月経周期が安定するなど、生理に関わる様々な症状の改善や生理のコントロールが期待できます。
自費で処方され経口避妊薬として服用するOC(保険適用外)と、保険診療で月経困難症や子宮内膜症、月経前症候群(PMS)の治療や改善目的で処方されるLEP(保険適用)があります。
低用量ピルの種類は、黄体ホルモンの「4つの世代」や「相性(そうせい)」の分類で、さらに細かく分類されています。
避妊用の自費ピルには、シンフェーズT、アンジュ21,28、トリキュラー21,28、ラベルフィーユ、マーベロン、ファボワール(マーベロンのジェネリック医薬品)、があります。保険適用製剤には、ルナベルLD、フリウェルLD、ジェミーナ、等が該当します。

<中用量ピル>
卵胞ホルモン(エストロゲン)の配合量が1錠あたり50μg(0.05mg)より多いピルが該当します。
機能性子宮出血、月経周期異常、過多月経、卵巣機能不全、月経不順、生理日移動、等の症状では低用量ピルでは効果が弱く改善効果が期待できない時に、中用量ピルによるホルモンバランスのコントロールに使用されます。
中用量製剤には、プラノバール、ウェールナラ、ソフィアA、ルテジオン、が有ります。ソフィアAとルテジオンは現在販売されていません。

<その他のピル>
上記3つの分類の中には入らないピルが存在します。高用量ピル、高用量の黄体ホルモン剤のピル、エストロゲンが入っていないピルになります。
・ウェールナラ配合剤は、中用量製剤に含まれることもありますが、エストラジオール1000μg、レボノルゲストレル40μgを含み、閉経後骨粗しょう症の治療薬のHRT製剤になります。ソフィアC、ルテジオン、等があります。
・緊急避妊薬のノルレボ錠1.5mgは、プロゲステロンが主成分のアフターピルです。性行為後72時間以内に服用することで、高い確率で避妊効果があります。低用量ピル(OC)よりも12~30倍の高用量の黄体ホルモンを一度に服用することで、排卵、受精、着床のいずれかを阻止して緊急避妊を行います。
ノルレボ錠1.5mgジェネリックは、ノルレボ錠1.5mgの後発品(後発医薬品)になり値段は安くなります。ジェネリック医薬品を使用することで先発医薬品よりも費用を安くしてピルの価格を抑えることができます。
・ミニピルと言われているエストロゲンを含まないプロゲステロンのみの避妊薬ピルもあります。

[注]アフターピル

[注]避妊に失敗

[注]ミニピル 

[注]ピルとは

低用量ピルの種類の詳細

ピル全体の4つの分類法のなかで、服用している人が最も多い「低用量ピル」の種類と分類法について解説いたします。低用量ピルは、まず使用目的によって避妊薬ピルと治療薬ビルに分類され、次にピルの中に含まれる黄体ホルモンの種類と開発世代によって分類されます。更に、1シートの錠数の違いによって分類することもあります。

●低用量ピルの使用目的による分類法

低用量ピル(超低用量ピルを含む)は、避妊薬ピルOCと治療薬ピルLEPに分類されます。
避妊薬ピルは狭義のピルとなり、治療薬ピルは製剤と呼ばれることもあります。
避妊薬ピルと保険適用ピルについては、下記の[注]の関連をご参照ください。
[略語解説]
OC=oral contraceptive(経口避妊薬)
LEP=low dose estrogen-progestin(低用量エストロゲン-プロゲスチン配合薬)

[注]避妊薬ピル

[注]保険適用ピル

●ピルの世代による分類

低用量ピルの中に含まれる卵胞ホルモンはすべてEE(エチニールエストラジオール)ですが、黄体ホルモンはさまざまな種類に分かれています。黄体ホルモンの副作用を下げるために、黄体ホルモンの種類によって開発世代により第一世代~第四世代に分類されます。

<第1世代>
黄体ホルモンの種類はNET(ノルエチステロン)といわれ、子宮内膜の増殖の抑制、ニキビや肌荒れの改善が期待できるといわれています。月経困難症や子宮内膜症の治療効果も高い特徴があります。
OCは、シンフェーズ
LEPは、フルウェルLD、ルナベルLD、フルウェルULD、ルナベルLD、が該当します。

<第2世代>
黄体ホルモンの種類はLNG(レボノルゲストレル)を使用しています。不正出血が起こりにくいため月経周期が安定して消退出血を作りやすいのが特徴です。
OCは、トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュ
LEPは、ジェミーナ、がこの世代に相当します。

<第3世代>
黄体ホルモンの種類はDSG(デソゲストレル)を採用して、男性ホルモンのアンドロゲン分泌を抑制してニキビ治療や多毛症の改善を期待できます。
OCは、マーベロン、ファボワール、がこの世代に相当します。

<第4世代>
黄体ホルモンの種類はDRSP(ドロスピレノン)を採用しています。
超低用量化されているので、ニキビやむくみなどの副作用が少なく、月経困難症や子宮内膜症の治療薬として使用されることが多いです。
LEPとして、ヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチ、があります。

●ピルの世代による分類の図解

ピルの世代による分類の図解

●1シートのピルの錠数、実薬に含まれるホルモン量の違いによる分類

<一相性と三相性の違い>
一相性:実薬に含まれるホルモン量がすべて一定
三相性:実薬に含まれるホルモン量が、自然に近くなるように生理周期に合わせて階段型に変化する様に調節されている

<21錠タイプ、経口避妊薬ピル、ダイアン、一相性>

21錠タイプの場合は、22~28日の期間は服用しない休薬期間となります。

<28錠タイプ、経口避妊薬ピル、トリキュラー28、三相性>

28錠タイプの場合は、毎日服用し続けます。お薬の有効成分は21錠分だけです。残りの7錠はプラセボといって有効成分が入っていない偽薬です。毎日の服用を習慣づけるためのものです。プラセボを飲んでいる間は、休薬期間となります。

<24錠タイプ、保険適用、ヤーズ、一相性>

一相性が24日続き、プラセボが4日と短いので生理痛の期間も短くなります。

<連続タイプ、保険適用ピル、ヤーズフレックス、一相性>

ヤーズフレックスには偽薬はなく全て実薬になります。
最長で120日連続服用が可能なお薬です。フレッキシブルに服用日数を変えられます。服用中に起こる出血に合わせて休薬期間となります。最長で服用した場合、1年間に約3回程度と、出血回数と出血日数の大幅な減少が期待できます。

低用量ピルの主な薬の種類

通常多く使用されているピルは、超低用量ピルと低用量ピルになります。避妊用の自費ピルと治療用の保険適用製剤の種類に分けられます。

●2021年3月現在販売されている低用量ピルの比較表

製品名 錠数 服用開始日 配合パターン
(1周期あたりの総量mg) 相性
相性
エストロゲン プロゲスチン
自費OC
シンフェーズT28錠 28 Sundayスタート EE=0.735 NET=15.0 三相性
アンジュ21錠

アンジュ28錠

21/28 Day1スタート EE=0.680 LNG=1.925
トリキュラー21錠

トリキュラー28錠

21/28 Day1スタート EE=0.680 LNG=1.925
ラベルフィーユ21錠

ラベルフィーユ28錠

21/28 Day1スタート EE=0.680 LNG=1.925
マーベロン21錠

マーベロン28錠

21/28 Day1スタート EE=0.630 DSG=3.15 一相性
ファボワール21錠

ファボワール28錠

21/28 Day1スタート EE=0.630 DSG=3.15
保険LEP
ルナベル配合錠LD
ルナベル配合錠ULD
21 Day1~5スタート EE=0.735
EE=0.420
NET=21.0
NET=21.0
フリウェル配合錠LD
フリウェル配合錠ULD
21 Day1~5スタート EE=0.735
EE=0.420
NET=21.0
NET=21.0
ヤーズ配合錠 28 Day1スタート EE=0.480(24日間)
EE=2.4(120日間)
DRSP=72.0(24日間)
DRSP=360(120日間)
ヤーズフレックス配合錠 28 Day1スタート EE=0.480 DRSP=72.0
ジェミーナ配合錠 21/28 Day1~5スタート EE=0.420 LNG=1.89

[略語]
・エストロゲン製剤
   EE:エチニルエストラジオール
・プロゲスチン製剤
   NET:ノルエチステロン
   LNG:レボノルゲストレル
   DSG:デゾゲストレル
   DRSP:ドロスピレノン

[注]ピルとは

ピル服用に関して注意する事

ピルの服用に関しては、ピルの種類を知って、ピルの効能、飲み方、副作用、等を理解することが大切です。

●ピルの効果

低用量ピルを服用することによって、排卵を抑制し月経周期を調整することができます。排卵抑制によって避妊することができ、月経周期の調整によって月経痛の軽減や月経出血量を減少させることができます。
避妊目的での使用は保険適用外ですが、避妊効果はコンドーム等の避妊法よりも避妊率は高く、薬剤の種類も豊富です。
副効用として、過多月経・貧血の改善、PMS・PMDDに効果があり保険診療も可能です。月経困難症にも保険適用可能です。ニキビの改善、大腸がん・子宮体癌・等の特定のガンにも抑制的に働きますが、ピル服用中は子宮頚がん検診が必要です。

[注]ピルの効果

●ピルの飲み方と飲み忘れに注意

ピルの薬効を得るためには、ピルの服用開始は生理開始から5日以内から開始して毎日ほゞ同じ時間帯に忘れない様に服用することが大切です。飲み忘れた場合の対処法は、1日の飲み忘れなら、ピルを飲み忘れたことに気がついた時点で、飲み忘れたピル1錠を服用します。翌日からは計画通りの時間帯でピルの服用を続けます。1錠の飲み忘れであれば、避妊効果や薬理効果がなくなることはないと言われています。
「2日以上連続して飲み忘れがあった場合は服用を中止させ、次の月経を待ち投与を再開させること、なお、飲み忘れにより妊娠する可能性が高くなるので、その周期は多々の避妊法を使用させること」と記載されています。(トリキュラー21錠28錠取り扱い説明書 バイエル薬品株式会社より)

[注]ピルの飲み方・服用方法 

[注]ピル飲み忘れ 

●避妊に失敗

ピルは1日1回ほゞ同じ時間に服用し、毎日忘れずに飲み続ける事で避妊効果が期待できます。避妊効力が出始める時期は服用を始めてから1週間目くらいです。ピルの服用で子宮頸管粘液は変化して精子の侵入を妨げ子宮内に精子が入りにくくなります。排卵、受精、着床を難しくして避妊に有効になります。
避妊に失敗してしまった、あるいは避妊しないで性交渉を行ってしまい、望まない妊娠をしてしまったかもしれないとお悩みの女性は、性交後72時間以内にアフターピルを服用することにより、妊娠阻止率を上げることができます。
実際に妊娠してしまった場合は、経口中絶薬か中絶手術が必要になります。

[注]避妊に失敗

[注]アフターピル

[注]中絶の基礎知識と費用

●ピルの副作用

ピルはお薬ですから、副作用もあります。マイナートラブルから血栓症までの知識を獲得しましょう。

<マイナートラブル>
ピルの副作用には、マイナートラブルと呼ばれる不正出血(不正性器出血)、吐き気、悪心、嘔吐、乳房の張り、むくみ、体重増加、気分変調、頭痛、などがあります。ピル服用後の症状には、肌荒れやニキビ、眠気が起こることもあります。胃薬、吐き気止め、等の対症療法で緩和することが可能です。1周期目~3周期目に起こることが多いですが、3ヶ月以内に収まる場合がほとんどです。

<重篤な副作用>
重篤な副作用には、静脈血栓塞栓症(VTE)があります。脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞、乳がん、悪性黒色腫、浸潤性子宮頸がんなどの副作用のリスクも指摘されています。
ピルのメリットとデメリットを知って内服することが大切です。

[注]ピルの不正出血 

[注]ピル休薬期間中の無月経

[注]ピルの副作用 

●ピルと性感染症、ピル以外の避妊法

<ピルと性感染症>
ピル服用によって性感染症を防ぐことはできませんので、コンドームの使用は一定の性感染症予防の効果があります。ピル服用時はコンドームと併用する事が必要です。

<ピル以外の避妊法>
ピル以外の避妊法として、コンドーム、膣外射精(性交中断法)、オギノ式避妊法(リズム法)、黄体ホルモン放出IUS(ミレーナ)、銅付加IUD挿入、不妊手術(パイプカット、卵管結紮)、殺精子剤、アフターピル等、があります。

[注]性感染症とは

[注]性感染症の予防

[注]ピル以外の避妊方法

[注]ミレーナ取扱説明書

●ピルはどこでもらえるの?

ピルはドラッグストアなどで市販されていませんので、処方には病院やクリニックを受診して医師との診察が必要です。
初めての患者様は、予約をいれて来院し問診を受ける必要があります。血圧、体重測定、健康状態、病気のチェックをして、問題なければ初診料、診察料金を支払って税込みでピルの購入ができます。
オンライン診療で低用量ピル定期便などをご利用されている方も、ピルの服用中は定期的な血液検査や対面でのチェックが重要です。
低用量ピルは避妊効果だけでなく、副効用で生理関連の様々なお悩み改善が期待でき、女性のQOL向上に役立ちます。低用量ピルの内服で、服用中止後の妊娠に影響を与えることもありません。
低用量ピルの、メリット・デメリット、種類や違いなどをよく知り、医師と相談して目的やご自分のお体に合った低用量ピルを選んで服用することと、服用途中でも不安や心配に思う症状がある場合は医師に相談しながら服用すると安心できます。
ピルの処方をご希望の方は、お電話かWEB予約からご予約の上、ご来院ください。

[注]ピルに関するよくある質問

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日帰りでの中絶手術も可能

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監修 竪山 均Hitoshi Tateyama

資格医

  • 麻酔科標榜医
  • 母体保護法指定医

メッセージ

当院は完全予約制です。
問診や各種相談は、個室で行っているため、ほかの患者さんに診療内容を知られることもありません。
来院後、ほとんどお待ちいただくことなく診療、検査を受けられます。
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