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03-3408-5526低用量ピルの休薬期間に生理が来ないのはなぜ?
低用量ピルの休薬期間とは
低用量ピルに休薬期間があるのは、ピル服用の周期を自然の生理周期と同じようにするためです。自然の月経周期には月に一度の生理があります。これと同様に、ピル服用中にも休薬期間を設定することによって自然周期と同様の生理を作ることができます。
消退出血と生理
消退出血とは、血液中の女性ホルモンが減少(消退)することによって増殖した子宮内膜が剥離しておこる出血のことを言います。月経は消退出血の一つです。
消退出血と破綻出血
消退出血と同じような現象に破綻出血があります。破綻出血とは、血液中の女性ホルモンの影響で増殖した子宮内膜表面の栄養血管の増生が、内膜の増殖に間に合わずに血行障害によって壊死をきたし破綻して出血するものです。無排卵性子宮出血がこれに当たります。
[注]「産科婦人科用語集・用語解説集」 公益社団法人日本産科婦人科学会
休薬期間中に生理が来ない理由
ピル休薬期間中に生理が来ない理由としては、まず妊娠があげられます。ピル服用中に性交渉の経験がある場合は、尿妊娠検査を行うか、産婦人科クリニックを受診して超音波検査で妊娠の有無を判断します。
妊娠が否定された場合でも消退出血が生じないことがあります。その理由は、ピル服用中は子宮内膜が自然周期よりも菲薄化して月経量が減少しますが、その菲薄化が強く生じて、月経血が極端に減少したことが関係していると考えられます。生理が来ていないように感じることが原因と考えられています。
[注]ピルとは
低用量ピルの休薬期間に生理が来ない場合の対処法
消退出血が見られない時の対処法
避妊用低用量ピルの周期投与に於いて、消退出血が見られなくなるのは1%未満といわれています。消退出血の様子には個人差がありますが、出血が見られない時は、ピルの服用を継続しながらまず妊娠の確認をします。その結果、妊娠が除外された場合は、消退出血がみられなくても問題ありません。心配は不要で、そのまま錠剤のピル内服を続けます。
[注] 「OC・LEPガイドライン2020年度版」 公益財団法人日本産科婦人科学会/一般社団法人日本女性医学会
予定通り低用量ピルを飲む
妊娠検査で陰性、あるいは性交渉がなく妊娠の可能性がない場合は、スケジュール通り低用量ピルの服薬を続けても大丈夫です。通常、消退出血が見られないケースはとても少ないとされています。休薬期間に生理様出血(消退出血)が来ない場合は、不安なく服用を続けるために、ピルを処方してもらった医療機関を受診して相談しておくとよいです。
医療機関を受診する
休薬期間に生理がこなくて性交渉があって妊娠の可能性がある場合は尿妊娠検査をしてみましょう。妊娠が完全に否定されたら、ピルをそのまま服用を続けます。低用量ピルの避妊効果が出るのは最短でも一週間の連続服用が必要です。避妊効果が出る前に性交渉がある場合や、低用量ピルの飲み忘れにより妊娠の可能性がある場合など、妊娠の可能性がある場合は医療機関を受診して妊娠検査をしてもらうようにしましょう。ご自分で購入された妊娠検査薬を使って陽性反応が出た場合も、早めに産婦人科病院を受診するようにしましょう。低用量ピルを毎日正しく服用できていて、消退出血がない場合も医療機関を受診してピルを処方してもらった医師に相談するようにしましょう。主治医の診断で超音波検査など必要な検査を実施する場合があります。
[注]避妊に失敗
[注]ピル飲み忘れ
低用量ピルの服用で改善が期待できる生理時の悩み
生理不順の改善
低用量ピルの服用中は、通常の生理の代わりに、休薬期間中に消退出血が起こるようになるため、生理日を移動して生理予定日を変更することができます。低用量ピル服用中は子宮内膜が薄くなるので、通常の生理よりも出血量が少なく、茶色っぽいおりもののような出血も特徴です。貧血、過多月経や生理不順が改善されて生理周期をコントロールしやすくなります。低用量ピル服用中は、実薬を服用している間は出血がなく、休薬期間(偽薬期間)の後に消退出血が起こり休薬期間(偽薬期間)終了後、次のシートを服用するというサイクルを繰り返し、子宮内膜を保護し正常にしますので不妊治療の内膜保護にも使用されます。
生理による痛み
生理による痛みには、病気が原因の痛みと、病気が原因ではない痛みがあります。病気の原因がある器質性月経困難症の場合、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮奇形の異常などが原因の生理痛です。内診やエコー検査を行います。病気の原因がない機能性月経困難症の場合は特に病変のない生理痛です。生理痛の治療には、生理痛に隠れて婦人科系の疾患がないかどうか、超音波検査で検査が必要な場合があります。鎮痛剤や低用量ピル(LEP)による治療で、生理痛の改善が期待できます。
月経困難症などの症状
治療薬としての低用量ピルを服用することで、子宮内膜の増生を抑え、体内のホルモンバランスを整えてくれます。生理中に起こる月経痛や頭痛、下痢、腰痛、嘔吐など月経困難症の症状や、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)など、ストレス・生理にかかわる体調やトラブルを低用量ピル(LEP)の服用で症状の緩和・改善する働きが期待できます。
ピルについて、効用・副作用、よくある質問
女性ホルモンの分泌機序
脳の視床下部、下垂体、と卵巣、子宮内膜は、ホルモン分泌によって刺激とフィードバックで連携しています。卵細胞から出る天然の女性ホルモンは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)ですが、ピルは合成の女性ホルモンの合剤です。
妊娠の成立
高温相から低温期に月経開始して、生理中より卵細胞から卵胞ホルモンが分泌されると子宮内膜が増殖していきます。排卵日のあと、排卵した卵子と性交渉による精子が受精すると受精卵となります。排卵後の卵胞は黄体卵胞となり黄体ホルモンを分泌します。受精卵が着床して妊娠が成立すると卵胞から黄体ホルモンの分泌が続いて基礎体温は高温相を維持します。妊娠の確認には市販の尿妊娠検査薬で尿検査陽性を確認するか、または産婦人科クリニックの血液検査と超音波検査で子宮内妊娠を確認します。
ピルの服用方法
ピルは合成の女性ホルモンの合剤です。ピルを服用開始するとネガティブフィードバックにより、卵巣からの自然の女性ホルモンが減少して、子宮内膜の肥厚が抑えられ月経痛、月経困難症、過多月経、等の改善が期待されます。
オンライン診療
病院の診察には電話で予約して保険証やマイナンバーカードを持参して通院することが必要です。オンライン診療を実施しているクリニックでは来院せずにご自分のタイミングで診察時間内にオンラインから気軽にご相談できます。オンライン診療の実施には事前の届け出が必要で、オンライン診療を行っているかどうかを病院や診療所にたずねてみましょう。
経口避妊薬ピル(OC)と保険適応ピル(LEP)
ピルの有効成分は合成のエストロゲンとプロゲステロンの合剤です。日本は国民皆保険制度のため、自費診療の経口避妊薬ピルと保険診療の保険適応ピルに分類されます。配合錠に含まれる有効成分は同じですが、避妊目的と治療目的の違いがあります。避妊目的で服用するピルはOCとも呼ばれ、自費診療ですので費用は全額自己負担の料金です。産婦人科の医師の診断により、月経困難症や子宮内膜症などの治療目的で服用するピルはLEPとも呼ばれ保険診療で処方されますので、自己負担は3割負担となります。
[略語解説]
OC=oral contraceptive(経口避妊薬)
LEP=low dose estrogen-progestin(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)
[注]経口避妊薬ピル
[注]保険適応ピル
ピルの種類
周期投与では1シート21錠タイプと28錠タイプがあります。最近では以前より連続投与のピルも処方される傾向にあります。ご自分の目的と希望に合わせて主治医と相談することをお勧めします。
2021年3月末現在で販売されている自費ピルと保険ピルの種類は「ピルの種類」をご覧ください。
[注]ピルの種類
ピルの種類
周期投与では1シート21錠タイプと28錠タイプがあります。最近では以前より連続投与のピルも処方される傾向にあります。ご自分の目的と希望に合わせて主治医と相談することをお勧めします。
2021年3月末現在で販売されている自費ピルと保険ピルの種類は「ピルの種類」をご覧ください。
ピルの効用
ピルには避妊薬、生理時の症状の改善以外にも効用が有ります。子宮内膜症、子宮腺筋症には有効ですが、子宮筋腫には注意が必要です。ニキビの改善にはピルの種類や個人差が大きいです。生理関連のトラブルや良性疾患に対するピルの効用、等があります。悪性腫瘍に対するピルの効用には、卵巣がん、子宮体がん、大腸がんの発症のリスクを低減します。
ピルの服用が女性ホルモンに及ぼす影響
経口避妊薬ピルや保険適応ピルを服用すると、内因性女性ホルモンの量を減少させるため、子宮内膜が服用前よりも薄くなります。そのため、ピルの服用により、月経量が減少し月経痛も減少します。
[注]ピルの避妊以外の効果
ピルの副作用
マイナートラブルとしては、服用の初めの時期に多い不正出血、悪心、乳房痛、頭痛、むくみ、吐き気、嘔吐、肌荒れ、等があります。服用を継続すると改善することが多いです。
重大なトラブルとしての静脈血栓塞栓症(VTE)や乳がん、子宮頸がん、のリスクにも注意が必要です。血栓症が疑われる身体の状態として、急な体重の増加、ふくらはぎの痛み、下肢の疼痛・腫脹・しびれ・熱感、突然の息切れ、胸痛、頭痛、四肢の脱力・麻痺、言語障害、急性の視力障害、嘔気、嘔吐等があります。症状が心配な時は服用を中止して専門医を受診することが大切です。
下記の[注]をご参考ください。
[注]ピル内服中の不正出血
[注]ピルの副作用
ピルの服用を継続するには定期的な問診、検診、検査等が必要です。
血圧、体重、血液検査、婦人科検診を定期的に行うことが必要です。乳がん検診は乳腺外来に紹介しています。
ピル以外の避妊方法
ピル以外の避妊法には、コンドーム、膣外射精(性交中断法)、オギノ式避妊法(リズム法)、ミレーナ(黄体ホルモン放IUS)、銅付IUD挿入、不妊手術(パイプカット、卵管結紮)、殺精子剤、緊急避妊薬(アフターピル)、等があります。
ピルと性感染症
ピル服用で、性病を防ぐことはできませんので、予防のためコンドームと併用することをおすすめします。細菌感染の子宮内膜炎の予防にもコンドームは一定の効果があります。
[注]ピル以外の避妊方法
[注]性感染症とは
避妊に失敗した時は?
避妊に失敗したと思われるときは、アフターピルを服用しましょう。72時間以内では高い避妊効果を得られます。
[注]アフターピル
[注]避妊に失敗
ピル投与開始について、よくある質問
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20歳未満の未成年者に、ピルを服用させることはできますか?
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骨成長が終了していない子供にはピルの服用は禁忌とされています。若い女性で初経が終了していればピルの開始はできますが、骨成長と骨密度を考慮する必要があります。
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閉経後の女性にピルは服用できますか?
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40歳以上の年齢でも健常の未閉経者にはピル投与は可能ですが、有益性と危険性を考慮する必要があります。50歳以上の場合は、閉経前であっても投与しないことが望ましいです。
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出産後はいつからピルの服用を開始していいですか?
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母乳を授乳中の場合は、分娩後6ヶ月以降に服用を開始します。非授乳婦であれば、VTEの危険因子の有無がなければ最短で産後3週間以降に服用可能です。
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人工妊娠中絶手術後はいつからピルは服用できますか?
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初期中絶後に排卵するのは最短で10日という報告があります。当院では初期中絶、中期中絶とも、手術後1週間目で服用する様にしています。
[注]中絶手術の基礎知識