- 正常妊娠、異所性妊娠、子宮外妊娠、卵管妊娠とは?
- 正常妊娠、異所性妊娠、子宮外妊娠、の発症部位
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)の診断と手術費用
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)の治療内容 (1) 待機療法 (2) 手術療法 (3) 薬物療法
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)後の妊娠について
- たて山レディスクリニックの異所性妊娠(子宮外妊娠)の対処法
ひとりで悩まずご相談ください
03-3408-55261.正常妊娠、異所性妊娠、子宮外妊娠、卵管妊娠とは?
受精卵の着床部位によって、正常妊娠、異所性妊娠、子宮外妊娠、卵管妊娠、という表現を使用することがあります。
正常妊娠とは受精卵が正常な子宮内膜に着床した妊娠のことを言い、正所性妊娠とも言います。全妊娠の99%が正常妊娠(正所性妊娠)です。
異所性妊娠とは受精卵が正常な子宮内膜以外に着床した妊娠のことで、約1%です。
子宮外妊娠とは、子宮外の異所性妊娠のことです。子宮外妊娠のうち90%以上が卵管妊娠となります。
下表の【正所性妊娠、異所性妊娠の関係】を参照
英語論文におけるectopic
pregnancyの日本語訳では異所性妊娠となりますが、異所性妊娠の多くが子宮外の異所性妊娠であることと、わかりやすさから日本では子宮外妊娠という用語が使用されることが多いです。
当記事では異所性妊娠(子宮外妊娠)と記載することとしました。
正所性妊娠 99% | 正常な子宮内膜に着床した正常妊娠 |
---|---|
異所性妊娠 1% | 2%が子宮内の異所性妊娠(ex帝王切開瘢痕部妊娠、頸管妊娠、等) |
98%が子宮外の異所性妊娠(子宮外妊娠) 、約90%が卵管妊娠 |
2.正常妊娠、異所性妊娠、子宮外妊娠 の発症部位
➀正常妊娠(正所性妊娠)
②子宮頸管妊娠
③帝王切開瘢痕部妊娠
④子宮筋層内妊娠
⑤卵管間質部妊娠
⑥卵管峡部妊娠
⑦卵管膨大部妊娠
⑧卵管采妊娠
⑨卵巣妊娠
⑩腹膜妊娠
・正常妊娠は、➀のみ、
・異所性妊娠は、②~⑩
・子宮内異所性妊娠は、②~④
・子宮外異所性妊娠(子宮外妊娠)は、⑤~⑩
3.異所性妊娠 (子宮外妊娠)の診断と手術費用
(1) 異所性妊娠(子宮外妊娠)の診断
異所性妊娠(子宮外妊娠)は急性腹症の原因ですので、早く診断することが大切です。
妊娠した場合や生理が遅れて妊娠の可能性のある場合は、早めに医療機関を受診して、妊娠状態と妊娠週数を調べることが大切です。早期に診断できればより適切な処置や治療をすることができます。
異所性妊娠(子宮外妊娠)は、臨床症状、尿検査、血液検査と超音波検査を併せて経過観察を行い診断します。
(2) 異所性妊娠(子宮外妊娠)の手術費用
異所性妊娠(子宮外妊娠)
の手術費用には保険が適用されます。手術方法が開腹手術であるか、腹腔鏡手術であるかによっても異なります。手術費用の自己負担額は一般的に3割負担で開腹手術では約10万円程度、腹腔鏡手術では約20万円程度です。その他に、入院費用が必要になります。
4.異所性妊娠(子宮外妊娠)の治療内容
異所性妊娠(子宮外妊娠)の主な治療法には、【待機療法】、【手術療法】、【薬物療法】、の3つがあります。妊娠の状態によって治療法は変わってきます。
妊娠状態、お体の状態、今後の挙児希望などを総合的に判断して、どの治療方法で進めていくべきか、主治医の先生とよく相談しながら決めていく必要があります。
(1) 待機療法
全妊娠の内、約1%で異所性妊娠が生じ、異所性妊娠のうち約98%が卵管内の子宮外妊娠といわれています。
尿検査で妊娠反応陽性なのに超音波検査では子宮内に胎嚢が見えない時は、次の3つの場合が考えられます。
1、正常妊娠だが妊娠週数が小さいために見えない。
2、すでに流産していて見えない。
3、子宮外妊娠のため子宮内に胎嚢がみえない。
の場合です。
確別するためには、緊急連絡と手術の準備をして、血中HCG検査と超音波検査で1~2週間経過観察をすることが必要です。
待機した結果、胎嚢が子宮内に見えてきて胎芽の成長が確認されれば正常妊娠となります。
血中HCGがだんだん減少して、子宮内に胎嚢が見えない時は、流産の可能性が高くなるので、自然流産するのを待機します。
血中HCGが増加しているのに、子宮内に胎嚢が確認できない時は、子宮外妊娠を疑います。
待機することによって、正常妊娠、流産、子宮外妊娠、を確定します。
[略語] HCG: ヒト絨毛性ゴナドトロピンhuman Chorionic Gonadotropin
(2) 手術療法
異所性妊娠(子宮外妊娠)のほとんどは卵管や卵管膨大部で起こります。卵管妊娠の初期症状は軽い腹痛程度ですが、卵管内に着床した受精卵が成長を続けると、卵管破裂を引き起こし急性腹症、大量出血のリスクとなります。卵管破裂の前に、早期発見して妊娠している部分を取り除く必要性があります。
卵管内の胎芽等の摘出には、卵管を温存する卵管温存法と卵管を温存しない卵管摘出法があります。
卵管温存法とは、卵管を切開して妊娠している部分だけを取り除き、卵管そのものは残しておく方法です。この方法で手術を行うと、左右の卵管が残ることになる卵管温存術となりますが、欠点として手術を行なった方の卵管は将来的に癒着を起こしたり、次の妊娠でも子宮外妊娠となるリスクが高まります。また、追加で薬物療法や再手術になる可能性もあります。
卵管摘出法は、妊娠している部分の卵管を切除する方法です。手術時間が短く根治術となります。卵管は左右にあるので、手術しなかった方の卵管は残り、残った卵管に異常がなければ、次回の妊娠で自然妊娠が期待できます。また現在では体外受精・胚移植が広く普及しているので卵管性の不妊に体外受精は適応されます。
卵管を温存する方法が良いか、切除する方法がよいかは患者様のお体の状況と緊急性などによっても異なります。手術中に腹腔内の状態を見て、温存から切除に方針が変更されることもあり、手術前に医師とよく相談して検討することが大切です。
次回の妊娠でも子宮外妊娠が起こる可能性が高くなりますので、手術療法を受けた方が次回の妊娠で挙児希望の場合は、子宮卵管造影の検査を受けて卵管の状態を確認しておくことがおすすめです。
現在では腹腔鏡下で卵管切除術の手術療法が主流となっており、受精卵の着床部位がわかれば、その部位を摘出することで根治療法となります。
(3) 薬物療法
妊娠している場所が不明の場合や血中HCG値の低下が遅い場合に適応されます。
薬物療法は、hCGの値、全身状態が良好である、病巣の大きさ、未破裂、などの条件を満たしていている場合に治療の選択肢の1つになります。
卵管に傷をつけずに治療を行うことができ、機能温存を望む患者様に対して、担当医師とよく相談して選択されることが必要です。治療に必要な期間は手術に比べて長期にわたります。
薬物療法の方法は、メソトレキセート(MTX)というお薬を全身投与または局所注射を行い、妊娠組織を消滅させます。メソトレキセートというお薬は抗がん剤の一種です。
投与の方法は、複数回投与法と単回投与法があります。投与後はhCGの値を定期的に計測し、順調に下がっていけば治療が成功したと言えます。
しかし、投与後にhCG値の急激な上昇があった場合、再投与や手術が必要になる場合もあるため、急変した場合などに緊急で外科的手術を行える施設でのみ選択が可能な治療法です。抗がん剤の治療であること、緊急の外科治療が追加される可能性があるため、入院が必要な場合もあります。入院期間は個々の症例によって異なります。
薬物療法は通常入院治療を行ったのち、外来にて経過を観察していきます。治療期間は患者様の全身状態によって異なります。子宮外妊娠へのメソトレキセート(MTX)による薬物療法は、現在日本では保険適用外の治療です 。
5.異所性妊娠(子宮外妊娠)後の妊娠について
前回の妊娠が子宮外妊娠だった場合、次回の妊娠時にも再度子宮外妊娠が起こる確率が高くなります。次回の妊娠時への影響は、子宮外妊娠の治療法によっても異なります。
手術療法にて、片側の卵管を切除していても、もう片方の卵管が残っている場合は、残った卵管に異常がなければ自然妊娠の可能性があります。両側の卵管を切除している場合でも、体外受精で妊娠できる可能性もあります。
待機療法や薬物療法の後の妊娠については、妊娠状態が正常妊娠であれば自然妊娠をして出産に至るケースは多くあります。子宮外妊娠治療後の妊娠については主治医の先生と相談し、お身体の回復状態に合わせて進めるようにしましょう。妊娠の経過は注意深く観察していく必要があります。
6.たて山レディスクリニックの異所性妊娠(子宮外妊娠)の対処法
尿検査が陽性でも超音波検査で子宮内に胎のうが確認できないことが有ります。通常、正常妊娠では妊娠5週〜6週頃までには胎のうが確認されるようになりますので、妊娠週数の間違いか、流産、子宮外妊娠、の場合を想定して経過観察となります。
妊娠週数の確認には、最終月経からと超音波計測からの方法が有ります。
子宮外妊娠(異所性妊娠)は、早期発見と早期治療が大切ですので、妊娠初期の5~6週頃に、尿検査陽性、軽い生理痛様の腹痛、受精卵着床部位の圧痛、つわり(妊娠悪阻)の症状がみられるのに超音波検査で胎嚢が確認できない時は異所性妊娠
(子宮外妊娠)を疑って経過観察を行うことが大切です。
子宮内に胎のうが確認できない場合は、検査時期が早すぎるか、流産、子宮外妊娠、様々な可能性を考慮し、時間の経過を待って尿検査、血液検査、超音波検査の再検査を実施します。
早めに高次病院への対応を考慮します。検査と診察の結果、子宮外妊娠が疑われる場合には、腹腔鏡検査と手術が可能な設備の整った高次病院への紹介となります。
子宮内に胎のうが確認された場合には、当院での中絶手術が可能です。
当院では、妊娠12週未満の初期中絶の場合は、初診来院日にご来院からご帰宅までおよそ3時間の、日帰り手術が可能です。初期中絶では、痛みのある前処置は不要です。術後1週間前後の検診では、お身体や子宮回復状態と全身状態を確認し、不安が残らないようにケアをさせていただいております。
妊娠12週を過ぎた場合でも当院では対応可能です。お電話でお尋ねください。