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03-3408-5526低用量ピルの基本と飲み方
低用量ピルとは
低用量ピルとは、低用量のエストロゲンとプロゲスチンという2種類の女性ホルモン成分が含まれている配合錠剤のことです。使用目的によって、高い避妊効果を得る自費の低用量避妊薬ピルと月経困難症や生理不順等のホルモンバランスを調整することで病気の改善を目指す保険適用の治療薬ピルに分類されます。
[参照]ピルとは
ピルの種類
ピルには様々な分類方法があります。
<女性ホルモンの分量による分類>
中に含まれている女性ホルモンの分量によって、中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピル、等があります。
<自費診療と保険適用の違いによる分類>
自費と保険の違いという使用目的によって「経口避妊薬ピル」と「保険適用ピル」にわけられます。経口避妊薬ピルはOC、保険適応ピルはLEPと呼ばれて、両者を併せてOC・LEP(オーシーレップ)と呼ばれています。
[略称の解説]
OC=oral contraceptive(経口避妊薬)
LEP=low dose estrogen-progestin(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)
「OC・LEPガイドライン2020年度版」公益社団法人 日本産科婦人科学会/一般社団法人 日本女性医学学会 編集
<ピルの錠数の違いによる分類>
ピルの錠数の違いによる分類として、21錠タイプ、28錠タイプ、連続投与のピル、等の種類があります。
[21錠タイプ、一相性、経口避妊薬ピル、ダイアン]
1シートあたりの錠剤の数が21錠タイプは21日間の3週間分のピルが入っており、7日間は休薬期間となります。
[28錠タイプ、三相性、経口避妊薬ピル、トリキュラー28]
1シートあたりの錠剤数が28錠タイプは3週間分のピルのほか、1週間分のプラセボ偽薬が入っており、偽薬を服用することで、4週間サイクルとなりピルの飲み忘れの防止につながります。
[24錠タイプ、一相性、保険適用ピル、ヤーズ]
24日分のピルが入っており、休薬期間を4日と減少させることで生理痛の痛みの期間を短くできます。
[フレックスタイプ、一相性、保険適用ピル、ヤーズフレックス]
実薬を120日間まで連続投与することで、28日間の周期的投与による月経痛等の悩み問題を回避することが期待できます。
[参照]経口避妊薬ピル
[参照]保険適応ピル
<特別な使用目的の違い等による分類>
性交渉後の避妊法にアフターピル(緊急避妊薬)や、女性ホルモンの卵胞ホルモンを含まない黄体ホルモンだけで避妊方法を行うミニピル(セラゼッタ)もあります。
・アフターピルは、ノルレボ錠という黄体ホルモン製剤レボノルゲストレル(LNG)1.5mgを性交渉後72時間以内に服用する避妊薬です。
[注]アフターピル
[注]ミニピル
低用量ピルの飲み方
低用量ピルは基本的に一日一回、同じ時間帯に服用します。体内のホルモン量を一定にすることと、飲み忘れを防ぐためです。
低用量ピルを飲み始めるタイミング
ピルの飲み初め
ピルの飲み初めのタイミングは基本的にはいつでも始めることができますが、飲み初めの周期でのピルの効果を得るためには、月経開始から5日以内に一日一回、同じ時間帯に服用します。
ピルの種類によっては、月経開始日から服用する場合と、服用開始をサンデイスタートにする場合としている場合がありますが、いずれにしても、生理開始5日以内に飲み始めることによってその月経周期での排卵を抑えて、避妊や病気の治療を行うことができます。
月経開始から6日以降にピルの服用を開始した場合は、その周期の避妊法にはコンドーム等の他の方法を併用することが大切です。
Day1スタート、Day1~5スタート
ほとんどの低用量ピルは月経開始日からの服用、又は月経開始1~5日以内の服用を勧めています。生理が始まってから24時間以内にピルを服用し始めるか(Day1スタート)、又は生理周期5日までに飲み初めるか(Day1~5スタート)、として7日間連続で服用すると最初の周期で高い避妊効果があります。
Sundayスタート法
生理が始まったら次の最初の日曜日から1錠目を飲み始める方法です。週末と生理予定日が重ならない様に工夫された飲み方です。サンデースタートといわれ、消退出血(生理様出血)は4週目の月曜日頃に起こり金曜日頃までに終わるので、週末(土・日曜日)と消退出血が重なりにくくなります。今日ではシンフェーズT28錠がこれに当たります。
消退出血とは、血液中の女性ホルモンが減少(消退)することによって増殖した子宮内膜が剥離しておこる出血のことで、月経は消退出血の一つです。
[SANDAYスタートの飲み方、シンフェーズT28]
1~3行目は実薬、4行目はプラセボの偽薬になります。
[注]シンフェーズT28錠取扱説明書 科研製薬株式会社
[注]消退出血とは
低用量ピルの飲み忘れを防止する方法
低用量ピルは、毎日飲み忘れることなく服用することが大切なポイントで、ピルの飲み忘れは不正出血の原因になり、効果の低下になる場合があります。
毎日服用するタイミングを決めておく
毎日ピルを服用するタイミングを、決めておくと良いです。例えば、就寝前や起床時、昼食後、夕食後など飲みやすいタイミングで服用を続けるようにしましょう。
ピルの副作用で、吐き気などを感じやすい方の場合には、就寝前の服用がおすすめです。ピル服用後の副作用は、服用後2時間以内に起こることが多く、副作用の起こりやすいタイミングが就寝時間と重なるため、吐き気を感じにくいためです。
服用するタイミングにアラームを設定しておく
ピル服用の時間を、スマートフォンなどのアラーム機能やリマインダー機能に設定しておくと、服用のタイミングをお知らせしてくれるので便利です。毎日同じ時間に通知されるように設定しておけば、うっかり飲み忘れてしまうことを防止しやすくなります。
ピルを飲み忘れた時の対処法
ピル1錠の飲み忘れであれば気がついた時にできるだけ早く飲み忘れた分のピルを服用し、翌日より普通に服用すれば、薬の効果に影響は少ないと言われています。
ピルを2日以上飲み忘れた場合は、1錠の飲み忘れの時より妊娠する確率が高くなりますので、飲み忘れに気付いた後は、妊娠の可能性があるため性行為を避けるかコンドームの使用など他の避妊方法を併用使用するようにします。
ピルの基本は飲み忘れないことですので、飲み忘れを防止するために、ご自身の生活スタイルにあった服用のタイミングを習慣づけることや、便利なスマホアプリやアラームの活用をおすすめします。
[注]ピル飲み忘れ
低用量ピルの副作用とサポート
マイナートラブル
頭痛、吐き気、乳房の張り、等のマイナートラブルは、吐き気止め等の内服薬の服用で3ヶ月程で落ち着く場合が多いです。嘔気、ニキビなどは比較的多いマイナートラブルの一つですが、症状がつらい場合は、吐き気止めなどの対処法やピルの種類変更などお気軽にご相談ください。
[注]ピルの不正出血
[注]ピル休薬期間の無月経
重篤なトラブル
血栓症などのリスクに対しては定期的な検診でリスクの早期発見・早期対処が非常に重要です。低用量ピル服用中の急な体重増加やふくらはぎの痛み、激しい頭痛やめまいなどの変化や心配な症状を感じた場合は服用を中止して、専門医のいる医療機関を受診するようにしてください。
[注]ピルの副作用
ピルと癌
ピルは子宮体がん、卵巣がん、大腸がんには抑制的に働きますが、乳がんの既往歴のある方には投与はできませんし、ピル服用中は子宮頚がん検診が必要です。
ピルはどこで処方してもらう?
低用量ピル服用は産婦人科医師の診察を受けて、お薬の飲み合わせの確認や、ご自身のお身体に合ったピルを選んで服用することが大切です。ピルのオンライン診療をおこなっているクリニックでは、頻繁に通院せずにピルを処方してもらうことができ、定期便のサービスを行っている場合もあります。オンライン診療での処方の場合、必要な検査を受けることができないので定期的に対面で診察開始を受け、体重や血圧測定、血液検査などのチェックをしてもらうようにしましょう。
当院では、初めて低用量ピルを服用する方は初診時に問診票をご記入いただき、診察、血圧・体重の測定を行います。服用方法や飲み始めのタイミング、飲み忘れ防止のアドバイスや服用中の注意点などを丁寧にご説明させていただきます。また定期的な検診を行なって服用をサポートしております。服用の途中でも、わからないことやご心配な点はお気軽にご相談・お問い合わせください。当院にてピル処方をご希望の方は、お電話かWEB 予約よりご予約の上ご受診ください。
[注]ピルに関するよくある質問