中絶に必要な検査とは?母体を守る術前・術後の大切な手続きと流れ

中絶に必要な検査とは?母体を守る術前・術後の大切な手続きと流れ 2020.12.03

妊娠の継続が難しく、人工妊娠中絶手術を受けることを決断される場合に、手術の前にどのような検査を受ける必要があるのかを、ご心配されている方もおられると思います。当院では、患者様のご負担がなるべく少なく、不安や心配な気持ちを和らげて、清潔で安心と安全性に配慮した手術を受けられるようなクリニック作りを心がけております。院内環境も、換気を徹底し、診察室・手術室はもちろんのこと、診察時の椅子や内診台、待合室の椅子やテーブルもこまめの消毒滅菌に配慮しており、院内は常に清潔に保っています。
事前の検査で、正常妊娠であるかどうか、ご自身の妊娠の状態を早めに正しく知ることは大切なことです。中絶手術の手術前検査の種類についてご説明いたします。

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中絶の術前検査の種類

来院されましたら、まず問診表に、既往歴、妊娠歴、現在の健康状態、等を記入していただきます。問診で、喘息、アレルギー体質、食事、現在の体調をお聞きします。次に、超音波検査・尿検査によって、妊娠の有無、正常妊娠の確認、妊娠状態と妊娠週数の推定、を行います。そして、血液検査で感染症検査などを行います。胎児と母体の状態を正しく把握することで、より安心して安全性に配慮した手術を受けていただくことができます。
妊娠すると母体の免疫力が低下するため子宮がん検査を行うこともあります。
術前検査内容の、超音波検査、尿検査、血液検査について、記述します。

超音波検査(エコー検査)

超音波とは、人の耳では聞こえない高い周波数の音のことで、超音波検査とはこの超音波を利用して、非侵襲的に副作用もなく体内の子宮や卵巣の状態を画像にして確認できる検査方法です。
経腹または経腟の超音波検査で胎児の状態、異所性妊娠・子宮外妊娠の除外、胎のう、胎芽・胎児、胎盤、子宮の検査を行います。双胎妊娠、多胎妊娠、重複子宮、弓状子宮、子宮後屈、子宮筋腫・内膜症、卵巣のう腫、子宮奇形、等を調べます。
胎のうと胎児の大きさから妊娠週数を推定します。

胎児と胎芽について簡単に解説いたします。

広い意味で、胎生動物の子宮内にある児を胎児といいます。その中で、器官原器の分化が完了していない妊娠10週までを胎芽と呼び、妊娠10週から娩出されるまでを胎児といいます。

尿検査

超音波検査で子宮内妊娠が不明確な時は尿妊娠検査を行います。
尿検査は、妊娠した絨毛上皮から分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピンhuman chorionic gonadotropin)というホルモンを尿検査で調べる方法です。超音波検査よりも早く妊娠を知ることができます。妊娠4~5週くらいでは超音波検査で胎のうが確認できないときでも、尿妊娠検査ではhCG陽性となります。
超音波で胎のうが確認できず、尿検査で妊娠反応が陽性の時は、着床してからまだ時間がたっていないか、流産して見えないのか、または異所性妊娠、のいずれかにあたります。

血液検査

超音波検査および尿検査で妊娠が確認された場合は、次に血液検査を行います。検査の内容は、肝機能、腎機能、B型肝炎、C型肝炎、感染症検査、HIV、梅毒検査、クラミジア検査、貧血検査、血液型、Rh式血液型、等です。

Rh式血液型不適合妊娠について少し詳しく解説いたします。
赤血球の表面にはいろいろな抗原があります。ABO式血液型のA抗原、B抗原のほかに、Rh式血液型にD抗原というのがあります。D抗原(―)をRh(―)、D抗原(+)をRh(+)といいます。
Rh (―)の母親がRh(+)の児を妊娠すると、妊娠中に胎児のD抗原が母体に移動して、その結果、母親の体内にD抗原に対する抗体(抗D抗体)が産生されます。
何も対処せずに、次回にRh(+)の赤ちゃんを妊娠した時、母親が持っている抗D抗体が赤ちゃんの方に移動し、赤ちゃんの赤血球の表面にあるD抗原を攻撃して赤血球を破壊します。その結果、胎児貧血・胎児水腫・心不全や新生児黄疸・核黄疸をおこす原因となる可能性があります。
それを防ぐために、Rh(―)の母親には中絶手術の後に、抗D抗体を産生しないように「抗D人免疫グロブリン製剤」を筋注することが勧められています。

次に中絶の術前検査を受ける時期についてご説明いたします。

中絶の術前検査を受ける時期

問診が終わり、超音波検査または尿検査で妊娠が確認されましたら術前の血液検査を行います。中絶の術前検査を受ける時期と検査内容は、初期中絶と中期中絶とではほとんど同じです。ただ、中期中絶の場合、手術が難しくなるため、胎盤の位置や胎児の大きさ、既往帝王切開分娩の方は帝王切開瘢痕症候群の有無 等が問題となります。
そのため、妊娠しているかもしれないと気がついた時、できるだけ早めに受診することが大切です。パートナーとの話し合いの上、様々なご事情から妊娠の継続が難しいと判断された時に、妊娠の確認を早いタイミングで知ることで、中絶手術の負担をあらゆる角度から見て、少なくすることができます。
普段から月経不順の方の場合、妊娠に気がつくのが遅れてしまう傾向があります。妊娠しているかもしれない、とお悩みの場合にはクリニックの婦人科・産婦人科を受診して医師にご相談していただくことをおすすめします。

初期中絶の場合

初期中絶とは、妊娠12週未満までの妊娠初期に受ける中絶を指します。妊娠週数は、最後の生理開始日を0週目として数えます。そのため、実際には妊娠1週であってもまだ妊娠していないことになります。妊娠4~5週目頃は超音波検査で子宮内に胎のうを把握しにくい時期のため、妊娠6週以降に超音波検査による術前検査を受けると良いといえます。月経予定日を1週間過ぎても生理がこない場合には、市販の妊娠検査薬で検査をし、月経予定日を2週間過ぎても、まだ生理が来ない場合は、病院・医院の婦人科・産婦人科を受診して超音波検査を受けるのが、よいタイミングです。
ただし、最終生理日から妊娠数週を数える方法は生理周期が28日周期であることを前提としており、月経周期が不安定な生理不順の場合には不正確です。

 

 (注)妊娠週数の計算方法について

中期中絶の場合

中期中絶とは、妊娠12週~22週未満までの妊娠中期に受ける中絶手術のことです。超音波検査で胎児週数を推定し、胎盤や子宮の精査を慎重に行います。中期中絶の場合は、前置胎盤が問題となる場合があります。
既往の帝王切開分娩のある方は、帝王切開瘢痕症候群CSS、帝王切開瘢痕部妊娠CSPの合併の有無の精査が必要です。きわめてまれですが、CSS、CSPの合併が疑われる場合は他院や高次病院への紹介実施の検討対象になります。

  

 (注)中期中絶とは
 (注)帝王切開後の中絶

たて山レディスクリニックの術前検査から中絶手術までの流れ

当院は完全予約制です。妊娠の確認および中絶手術をご希望される患者様は、まず診療のご予約をお願いします。お電話をいただくか、またはWebにて予約を入れていただいています。Webで予約を入れた方は、詳細については後日電話でのお問い合わせをお願いします。Webの予約だけでは、手術の予約は完了しておりません。お電話で、事前に当日持参いただく生理用ショーツ、ナプキン、着替えなどの持ち物や、入浴・シャワー、食事、前日の過ごし方などの注意事項や、料金、保険証、同意書などのご用意・ご準備いただく内容について詳しくご説明させていただいています。

術前検査から中絶手術までの流れ

  1. 診療の予約(お電話またはWeb予約)
  2. 予約した日に来院。診察、術前検査を行います。
  3. 中絶手術
  4. 1週間前後に術後検診

・初期妊娠で事前検査に問題がなければ、初期中絶をおこないます。手術方法は吸引法で日帰り手術です。手術法・麻酔法・副作用をご説明し、手術説明に同意していただければ、同意書に署名・捺印して頂いております。事前に子宮口を拡張する痛みのある術前処置は行う必要はなく、全身麻酔のうち最も軽い静脈麻酔下で眠っている間の手術時間3分間程度で終了いたします。回復室で安静していただき、来院してから約3時間程度で帰宅できます。帰宅後も安静にしていただきます。個人差はありますが、ほとんどの方が、手術後の翌日よりお仕事可能です。

・中期妊娠で事前検査のチェックに問題がなければ、中期中絶をおこないます。手術法は下記の、(注)中期中絶の方法をご参照ください。

・手術費用は下記の(注)人工妊娠中絶術の費用をご参照ください。初診料、検査費用・消費税・術後検診費用等、はすべて中絶費用に含まれています。

・術後、必ず一回は検診にご来院ください。再診料・術後診察料、検診料、血液検査料、税金等、の金額は一括料金の中に含まれています。

(注)中絶手術の流れ
(注)中期中絶の方法
(注)人工妊娠中絶術の費用
(注)中絶手術の麻酔について
(注)前処置について
(注)中絶手術の翌日に仕事について

術後の手続きとアフターフォロー

・手術後の手続きは初期中絶と中期中絶では異なります。
初期中絶とは、妊娠11週6日までの中絶です。初期中絶では術後に必要な手続きはありません。術後検診にご来院していただくだけです。
中期中絶とは、妊娠12週から妊娠21週6日までの中絶です。中期中絶では、死産届と死産証書を術後1週間以内に役所に提出して、役所から死胎火葬許可証を発行してもらう法律上の義務があります。また、保険診療の適応で出産育児一時金制度が利用できます。

・術後のアフターフォローについて
術後一度は来院していただいています。
通常の初期中絶は手術日の手術当日と手術後の術後検診の原則2回の来院のみで全て終了いたします。そのほかに、術後に生じる様々な症状と対策をホームページの関連記事に記載しています。ご覧になってご参照ください。
当院で手術をされた方で術後お困りの方やご質問のある方は、お問い合わせください。お電話でのご相談にも対応しております。

・中絶については、わからないことや不安に思うことも多くあると思います。術前術後のサポートをさせていただいております。
術後の検診でアフターフォローも丁寧に診させていただいております。

・今後は望まない妊娠をしないように、ピルの処方や子宮内避妊器具(ミレーナ)挿入などをおすすめしています。中絶手術の予防、避妊の相談にも対応できます。ピルを服用することで避妊のほかに、生理痛、月経不順の症状の改善にも有効です。ミレーナは子宮内に挿入して約5年間有効で、過多月経も改善できます。ご希望の方は診察時にご相談ください。

・人工妊娠中絶手術を受けることができる期間は法律で定められています。病院での検査で、現在の妊娠の状態を正しく確認することができます。当院では、できるだけ患者様の負担を少なく、痛みの少ない手術を行っております。週数が大きくなると、負担が大きくなることを避けられません。中絶手術をお考えの場合、できるだけ早めにご受診ください。

・未成年の場合、中絶手術を受けることは可能ですが、年齢によって親または保護者の同意が必要な場合があります。詳しくは下記の(注)未成年でも中絶手術はうけられる?をご参照ください。

(注)関連記事
(注)中期中絶の方法について
(注)中絶手術の翌日から仕事はできる?
(注)未成年でも中絶手術はうけられる?
(注)同意書の必要性

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【日・月・火・金・土・祝日】 10:00~13:00 (8時45分から予約可能です)
【水・木】休診日
事前に電話(03-3408-5526)でご予約下さい。
監修 竪山均 tateyama hitoshi
資格医 麻酔科標榜医 | 母体保護法指定医
当院は完全予約制です。 問診や各種相談は、個室で行っているため、ほかの患者さんに診療内容を知られることもありません。 来院後、ほとんどお待ちいただくことなく診療、検査を受けられます。 ささいなことも、どうぞご遠慮なくご相談ください。 このホームページが、あなたの不安な気持ちを少しでもやわらげるための一助となることを願ってやみません。

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