- 子宮奇形の種類と特徴
- 子宮奇形があると妊娠や中絶にどんな影響がある?
- 子宮奇形がある場合の中絶手術の方法
- 手術時に注意が必要なリスクと対応
- 費用の目安と保険適用の有無
- 術後の回復と次回妊娠への影響
- まとめ|子宮奇形があっても安全な中絶は可能
ひとりで悩まずご相談ください
03-3408-55261.子宮奇形の種類と特徴
(1)中隔子宮(ちゅうかくしきゅう)
子宮の中央に「仕切り(中隔)」があるタイプで、最も多く見られる子宮奇形の一つです。中隔が厚い場合、受精卵が着床しても血流が乏しく、流産のリスクが上がることがあります。また、妊娠初期中絶を行う際には、子宮内腔の形が二分されているため、器具の挿入角度や吸引位置を慎重に調整する必要があります。
子宮の中央に「仕切り(中隔)」があるタイプで、最も多く見られる子宮奇形の一つです。中隔が厚い場合、受精卵が着床しても血流が乏しく、流産のリスクが上がることがあります。また、妊娠初期中絶を行う際には、子宮内腔の形が二分されているため、器具の挿入角度や吸引位置を慎重に調整する必要があります。
(2)双角子宮・単角子宮・重複子宮の違い
• 双角子宮:子宮がハート形にくびれた状態。妊娠可能ですが、胎盤位置や胎児発育に影響することがあります。
• 単角子宮:片側の発育が不十分なため、妊娠空間が狭く、流産・早産のリスクが高まります。
• 重複子宮:子宮が二つに分かれており、それぞれ独立した腔を持ちます。稀なケースですが、妊娠や中絶時に片側の子宮で手術を行うため、正確な診断が欠かせません。
(3)子宮筋腫による子宮奇形
大きな子宮筋腫が子宮内にできると子宮内宮に変化が生じ子宮奇形と同じ状態になることがあります。
(4)診断方法
超音波検査(経膣エコー)が主流です。稀にはMRI、子宮鏡検査によって形態を確認することもあります。妊娠初期の段階で子宮形態を把握しておくことが、手術時のリスク回避につながります。
2.子宮奇形があると妊娠や中絶にどんな影響がある?
子宮奇形は妊娠自体が不可能というわけではありませんが、受精卵の着床位置が偏る・胎盤の形成が不均一になるなど、妊娠経過に影響を及ぼす場合があります。
中絶手術時も、子宮の形によっては器具が届きにくい場所が生じ、子宮穿孔(せんこう)や不完全流産のリスクが高まることがあります。
(1)流産・早産リスク
中隔子宮では、血流の乏しい中隔部分に胎盤が形成されると流産の可能性が高くなります。双角子宮・単角子宮では、胎児の成長スペースが限られ、早産に至るケースもあります。
(2)胎盤や胎児発育への影響
胎盤位置が低い「前置胎盤」になりやすい傾向もあり、手術時の出血量が増えることもあるため注意が必要です。
3.子宮奇形がある場合の中絶手術の方法
妊娠週数や子宮形態に応じて、安全な方法を選択します。
(1)妊娠初期の吸引法(手動真空吸引・電動吸引)
現在、日本産婦人科学会が推奨しているのは「吸引法」です。子宮奇形がある場合も、原則として吸引法が選ばれます。 子宮口から子宮内宮までの頸管の確認が重要で、双角子宮や重複子宮の場合は左右どちらの腔に胎嚢があるのかと内腔までの到達の経路を超音波で正確に確認し、吸引位置を調整します。
(2)中期中絶での分娩方法
妊娠12週以降は、子宮収縮薬を併用して分娩に近い形で行うことになります。奇形子宮では薬剤の反応が異なる場合があり、子宮収縮の強さや持続時間を医師が細かく管理します。
(3)麻酔・頸管拡張の注意点
頸管が湾曲していることも多いため、ラミナリアや専用の拡張器具を慎重に挿入し、無理な操作を避けます。全身麻酔や静脈麻酔を使用する場合も、術中のモニタリングを徹底します。
頸管が湾曲していることも多いため、ラミナリアや専用の拡張器具を慎重に挿入し、無理な操作を避けます。全身麻酔や静脈麻酔を使用する場合も、術中のモニタリングを徹底します。
(4)術前検査
• 超音波検査と膣鏡で子宮口と内腔の確認
• 感染症(クラミジア、HIV、梅毒など)
• 貧血・出血傾向の確認
• 麻酔リスク評価(心疾患や高血圧などの既往)
4.手術時に注意が必要なリスクと対応
妊娠週数や子宮形態に応じて、安全な方法を選択します。
(1)子宮穿孔のリスク
奇形によって子宮壁が薄い部位や角度が変わるため、穿孔(穴が開くこと)リスクが高まります。熟練医師が超音波ガイド下で行うことで安全性が高まります。
(2)器具操作の難しさ
二腔性の子宮では、吸引管が片側に偏りやすいため、左右それぞれを確認しながら吸引します。経験豊富な医師が行うことが重要です。
(3)感染予防と術後管理
抗菌薬の予防投与や、術後1週間以内の再診で子宮内容の残存を確認します。奇形子宮では排出が不十分な場合があるため、再吸引や薬剤追加が必要になることもあります。
5.費用の目安と保険適用の有無
妊娠週数や子宮形態に応じて、安全な方法を選択します。
(1)費用相場
• 妊娠初期(〜11週):10〜16万円前後
• 妊娠中期(12〜21週):50〜70万円前後
奇形がある場合でも、基本的な費用は大きく変わりません。ただし、入院や再吸引が必要な場合は追加費用が発生することがあります。
(2)保険適用の有無
人工妊娠中絶は原則として自費診療ですが、母体保護法に基づく「指定医」による正当な医療行為であれば、医療費控除の対象になる場合もあります。
(3)助成金・支援制度
自治体によっては、低所得世帯や若年女性への支援金制度があるため、自治体窓口での確認をおすすめします
6.術後の回復と次回妊娠への影響
妊娠週数や子宮形態に応じて、安全な方法を選択します。
(1)月経再開の目安
おおむね3〜6週間で月経が再開します。奇形子宮でもホルモンバランスが戻れば自然な周期が回復します。
(2)次回妊娠へのリスク
中隔や双角子宮がある場合、再度妊娠しても流産や胎盤位置異常が起こる可能性があります。必要に応じて中隔切除術などの矯正手術を検討することもあります。
再手術・矯正の検討
妊娠を希望される方には、手術前に子宮鏡による中隔切除を行うことで、妊娠継続率が高まるケースも報告されています。
7.まとめ|子宮奇形があっても安全な中絶は可能
子宮奇形は珍しいものではなく、適切な検査と手術計画を立てれば、安全に中絶を行うことが可能です。重要なのは、
• 術前の詳細な子宮評価(超音波や稀にMRI)
• 経験豊富な母体保護法指定医による施術
• 術後の回復確認とフォローアップ
です。妊娠や将来の出産に不安を抱える方は、手術の前に医師に十分相談し、自分の体に合った治療方針を選びましょう。
