中絶を検討している方は、できるだけ早く産婦人科に相談することで、中絶薬か中絶手術のどちらにするかを選ぶことができます。2023年5月からは、英国ラインファーマ社のメフィーゴパックを使い、妊娠63日(9週0日)までなら薬だけで中絶できるようになりました。薬は手術を受けなくていいという利点があり、手術は3時間で終了するという利点があります。妊娠9週までの初期妊娠では、薬による中絶と手術による中絶を選ぶことが可能です。当院ではお一人お一人の状況に合わせ、身体と心への負担が少ない方法を一緒に考え、術前から術後まで丁寧にサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
ひとりで悩まずご相談ください
03-3408-55261.妊娠7週・8週の妊娠中絶について
妊娠7週~8週の妊娠中絶の方法には、経口中絶薬と中絶手術の2つの方法が有ります。経口中絶薬は妊娠9週0日までに適用され、中絶手術は妊娠21週6日までに適応されます。母体は、個人差はありますが、妊娠5週~6週に続いて、いろいろな変化が生じます。無月経・微熱の継続、つわり(妊娠悪阻)による吐き気、喉の渇き、腹痛・腰痛・頭痛の持続、情緒不安、味覚・嗅覚の変化、少量の不正出血、頻尿、貧血等の変化にも注意をしましょう。
妊娠7週~8週では、母体の子宮内では大きな変化が見られます。
・妊娠4週では、子宮内膜が厚くなってきますが、胎嚢(GS)はまだ見えないことが多く、見えても数ミリ程度の大きさです。
・妊娠5週になると受精卵が着床して、胎嚢が確認できることが多いです。妊娠5週の後半では胎嚢のなかに、卵黄嚢(リング)が形成されます。
・妊娠6週になると、胎嚢の中の卵黄嚢の一部に胎芽が形成されます。胎芽は3ミリ~8ミリくらいにまで生長して、心拍が確認されることも多いです。
・妊娠4週~6週では、超音波検査で子宮内妊娠を確認できていても、あまり早い時期の手術ですと内容物の残存が肉眼では確認しづらいため、取り残しや絨毛遺残には十分な注意が必要です。
・妊娠7週になると、胎芽は卵黄嚢から分離して、胎芽の頭殿長(CRL)は9ミリ~14ミリ位までに大きくなり心拍が明瞭になってきます。
・妊娠8週になると、胎芽の頭殿長は16ミリ~20ミリ位まで大きくなります。
・一般的には中絶手術において、妊娠7週~8週になると、絨毛遺残のない大丈夫な週数となります。妊娠9週、妊娠10週も、ほぼ同様に生長していきます。
・妊娠初期では、多胎妊娠や膜性診断を確認しておくことも大切です。
・図-1と図-2に、妊娠7週のエコー検査、双胎妊娠、の写真を紹介します。
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(図1) 妊娠7週のエコー検査、 胎嚢,胎芽,卵黄嚢,(リングの頭殿長)
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(図2) 双胎妊娠と膜性診断
2.妊娠7週・8週の中絶薬、中絶手術で知っておきたいこと
「初期中絶手術」とは、妊娠初期(妊娠4週目~妊娠11週6日)に行う中絶手術です。
「中期中絶手術」とは、妊娠12週から妊娠21週6日(妊娠22週未満)までに行う中絶術のことです。
妊娠9週0日までは、経口中絶薬メフィーゴパックの服用で妊娠中絶を行うことができます。メフィーゴパックはミソプロストールとミフェプリストンの2剤からなります。
「初期中絶」は役所に書類を提出する必要はありません
妊娠7週・8週の中絶は「初期中絶手術」となり、「中期中絶手術」のように「死産届」や「死産証書」の書類を役所に提出して「埋葬許可証」を発行してもらう必要性はありません。当院では、胎芽・胎児ともに永代供養をさせて頂いています。
妊娠7週・8週の中絶手術は副作用やリスクが少ない
・妊娠4週~妊娠5週では、受精卵が子宮内膜に着床して胎嚢が形成される時期です。排卵が遅れると胎嚢の形成も遅れて、子宮内に胎嚢が確認できないこともあります。
・尿検査で妊娠検査が陽性反応であっても、超音波検査で胎嚢が見えないときがあります。その時は子宮外妊娠(異所性妊娠)または流産の可能性を除外して、正常な子宮内妊娠であることを確認する必要があります。その場合は、数日~1週間後に再来院をお願いすることがあります。
・妊娠5週~妊娠6週になると、胎嚢と胎芽が確認できるようになりますが、経腹超音波では確認が難しいこともあります。
・妊娠7週~妊娠8週になると、妊娠4週~6週までに比べて、胎児(胎芽)の形や心拍もはっきりするため、中絶手術の副作用やリスクが少ない期間だといえます。
初期妊娠では「手術前処置」は不要
当院では初期手術には手術の前日に行う子宮口を拡張する前処置は必要ありません。そのため、前日にご来院していただく必要はありません。遠方からの初診同日手術が可能となります。
痛みはほとんどなし
麻酔方法は静脈麻酔で、手術方法は吸引法を行うため、手術時の痛みはほとんどありません。
超音波ガイド下の安心と安全に配慮した手術です
中絶手術のリスクとして、子宮穿孔、子宮内膜炎、腹膜炎、筋腫合併妊娠、重複子宮などがありますが、エコーガイドのため、そのような合併症には十分に対処できます。
3.妊娠7週・8週の日帰り中絶手術の流れ
(電話予約)
・お電話(03-3408-5526)で予約を入れて下さい。最終月経開始日、妊娠週数、病室の空き状況、合併症、事前の準備、手術前日の食事、注意点、同意書、手術費用、等の説明があります。初診の来院日に同日の手術を希望する方は電話予約が必須です。
・妊娠7週~妊娠8週は手術の負担の少ない妊娠週数となります。妊娠週数が12週前後と思われる方は、中期中絶になる可能性がありますので、予約のお電話で連絡してお申し出ください。
・休診日や時間外にウェブで24時間受付の予約をした場合は、そのWeb予約だけでは受付は完了しておりません。事前に注意事項や術前準備、同意書、手術料金等の説明などをさせていただきますので、受付までお電話をお願い致します。
・経口中絶薬メフィーゴパックをご希望の方はお申し出ください。
(同意書)
・母体保護法という法律で「本人及び配偶者の同意を得て、妊娠中絶手術を行うことができる」とあり、既婚者の場合は配偶者の同意書が法律上必須になります。
・未婚者の場合は、配偶者でないため、ご本人様の同意のみで済む場合があります。
・未成年者も同様に、保護者の同意書が必要です。未成年者が独立して生計を営んでいる場合等はご本人の同意のみでよい場合もあります。詳細はお電話でお尋ねください。
・当院ホームページより同意書ダウンロードできます。
(問診・診察・検査)
・予約した当日の指定時間にご来院ください。
・病歴、薬歴、最終月経開始日、高血圧、アレルギー体質、合併症等の問診を行います。
・妊娠4週目くらいでは、尿の妊娠検査で陽性だが超音波検査では子宮内に胎嚢が見えないことがあります。その時は、子宮外妊娠(異所性妊娠)や流産を除外する必要性があります。
・超音波検査(エコー検査)と内診で、妊娠週数、多胎妊娠、流産、前回帝王切開瘢痕、子宮筋腫、前置胎盤等の異常妊娠の有無を精査します。
・血液検査でRh式血液型不適合妊娠、貧血、B型肝炎、Ⅽ型肝炎、HIV、クラミジア感染症、等を調べます。
・手術可能で中絶手術を行うことに問題ないことが確認できましたら、手術法、麻酔法、手術合併症、注意点、術後の経過フォロー等を患者様に、丁寧にご説明してご理解を得た後に、「中絶手術説明書」にサインをいただいております。
(手術)
・「初期中絶」で同日手術希望の方は、そのまま手術の準備に入ります。子宮口と子宮頸管を拡張する手術前処置の必要性はないので行いません。
・術衣に着かえていただき手術室にご案内いたします。各種モニターを設置した後、10分ほどで手術開始されます。麻酔薬と鎮痛剤を点滴より投与して静脈麻酔を行い、適宜に笑気麻酔を加え、眠っている間に手術は終了いたします。
・手術の麻酔は局所麻酔ではなく静脈麻酔となります。
・手術は清潔に消毒滅菌された手術室で、母体保護法指定医師である院長と数名の看護師の連携によって実施しております。
・手術方法は「吸引法」を行っています。「吸引法」はWHO(世界保健機関)が推奨する、出血量が少なく子宮内膜にやさしい子宮内容除去術です。
・吸引法は吸引管または吸引カニューレを子宮内に挿入して、経腹的超音波(エコー)ガイド下に吸引器で吸引します。手術中の痛みはほとんどありません。麻酔時間の約5分間、眠っている間に、手術時間は3分間程度で手術は終了します。目が覚めたときには手術は終了しています。
・当院の吸引法は電動真空吸引法(EVA)と手動真空吸引法(MVA)のどちらにも対応しています。手術の症例と患者さんの希望を考慮して手術法を選択しております。
・手術後は、院内の回復室でゆっくりと安静にして休んでいただきます。麻酔が覚醒して医師の判断で問題がなければ、軽食とお飲み物をご用意しています。
・術後に起こりうる症状には発熱・子宮の収縮による腹痛・出血などがありますが、いずれも個人差が大きいです。
・無理せず安静にしてお過ごしいただければ、個人差はありますが、一般的にはほとんどの方が翌日より仕事に復帰されています。
・吸引法は掻爬法に比べて麻酔時間と手術時間が短いので、手術後の回復が早い方法です。午前中にクリニックに来院してから午後に帰宅するまで約3時間で、帰宅後は無理をせず身体的にも精神的にも安静にしてすごしてください。
・付き添いの方もいりませんし、入院の必要性もありません。
・「中期中絶」の場合は、妊娠12週や妊娠13週、と妊娠14週以降では方法が異なります。妊娠14週以降は、前日に子宮口と子宮頸管を拡張し当日に子宮収縮の陣痛初来による分娩様式になります。「中期中絶手術の方法」をご覧ください。
(手術後検診)
・術後1週間前後に術後検診にご来院ください。料金は手術料金に含まれています。
手術後の子宮や卵巣の状態を精査し、術後出血、次回の生理、腹痛、出血、微熱の症状の発生の理由と対処について、当院のホームページで提示した情報をもとにご説明いたします。・術後の1週間前後の検診前でも、心配な症状が続く場合にはご連絡をお願いしております。
4.妊娠7週・8週の日帰り中絶手術の費用
(当院の中絶費用の特徴)
・当院の中絶手術費用に関しては、金額を明示して別途の追加費用がないこと。
・「初期中絶」には2つのコースがあること。
1日コースは、遠方にお住まいの方、最短の日時をご希望の方、休みを取りにくい方、に配慮して同日一日で終了いたします。
2日コースは、患者さんの予定に合わせて、2日で行います。
・初期中絶、中期中絶ともに、全例に永代供養をさせて頂いています。永代供養には料金はかかりません。
(中絶費用)
実際の費用は以下をご覧ください。
5.術前術後の丁寧なサポートと日帰り手術
・妊娠検査が陽性になった場合、まずは出産するかどうかにかかわらず、産婦人科医院を受診して子宮内の妊娠状態や妊娠週数を確認することが大切です。さまざまなご事情から妊娠の継続が難しいと判断された場合、パートナーやご家族とよく話し合った上で母体保護法指定医が在籍している医療機関での受診をおすすめします。
・妊娠週数が早い段階であれば、身体への負担がより少ない方法での中絶が可能です。
手術による中絶方法は、手動真空吸引法(MVA)や電動真空吸引法(EVA)などがあり、妊娠週数や子宮の状態に応じて適切な方法が選択されます。麻酔は静脈麻酔と笑気麻酔を併用し、眠っている約3分間の間に手術を行うため、ほとんど痛みはありません。
・中絶手術を行う場合、前処置として子宮頸管拡張のためにラミナリアという棒状の医療材料を使用することがあります。子宮頸管を広げて柔らかくし、手術を行いやすくするための処置です。前処置は痛みが有りますが、当院では妊娠12週以下では前処置は不要です。
妊娠13週の場合は、未産婦の場合は前処置を行うことがありますが、経産婦の場合は前処置は必要ありません。
・14週以降では分娩様式になるため前処置が必要となります。手術の際は感染予防(抗生剤)や痛み止めの投与をおこないます。
術後は発熱の症状がなければシャワーの使用が可能です。性交渉の再開は医師の指示に従ってください。2週間を過ぎるころから排卵が始まる可能性があるため、早めの避妊対策が必要です。
また、妊娠9週0日以下の正常妊娠であれば、経口中絶薬メフィーゴパック(ミフェプリストン200 mg+ミソプロストール800 µg)の薬剤による中絶も可能です。服薬によって妊娠を中断する方法であり、手術に抵抗のある方にとって選択肢の一つになります。中絶薬による中絶に失敗した場合には、追加で外科的処置が必要になるケースがあります。
・当院の中絶費用は、術後1週間前後の術後検診を含めた一括料金(税込み)となっており、術後の子宮や卵巣状態の確認や、ホルモンバランス、次回の生理についてもご説明いたします。不安や心配が残らない様に、丁寧なアフターフォローやカウンセリングを行っておりますので、お体に心配な症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
・当院ではインタネットによる情報提供を行っており、たてクリチャンネルの開設は好評を得ております。
たてクリチャンネル をご覧ください。
・中絶後も将来的には妊娠、出産をすることは可能です。今後の望まない妊娠を防ぐために、避妊指導や家族計画として女性が主体的に管理できる避妊方法の経口避妊薬(ピル)の服用や子宮内器具(ミレーナ)の装着をおすすめしています。ピルは避妊だけでなく、月経痛やPMSの改善にも効果があり、多くのケースで取り入れられています。
当院のホームページでは、よくある質問や合併症一覧、保険適応有無、公的助成などのついても掲載しています。その他にも、手術前・手術後の様々な情報をご覧いただけます。
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