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03-3408-5526アフターピルとは?
「アフターピルとは、性交後の一定時間(通常72時間以内)に内服することで妊娠率を下げることができる薬剤」のことです。緊急避妊薬、緊急避妊ピル、緊急避妊剤、モーニングアフターピル、ともいわれています。以前は、夜間にセックスをして翌朝に避妊をする薬ということで、モーニングアフターピルと言われることが多かったのですが、今では昼夜に関係なく使用されるため、単に「アフターピル」と呼ばれています。
性交後の避妊に有効なアフターピルとは?
アフターピルは、内服することで、排卵、受精、着床、のいずれかを防止して、高い確率で避妊をすることのできる薬剤です。
服用は、性行為後24時間以内に服用した場合は99%の避妊率があり、48時間以内では98%の避妊率で、時間がたつほど効果が下がっていくといわれています。効果的に避妊するためには、できるだけ早く服用することがとても大切です。
アフターピルをおすすめする理由
セックス後に次の生理予定日まで妊娠したかもしれないという不安や心配を抱えたままにせず、できるだけ早くアフターピルを服用することをおすすめします。
避妊に失敗した時の万が一のために、「アフターピル」という選択肢を知識として知っておくことは大切なことです。「アフターピル」は女性が望まない妊娠を避けるために有効な一つの方法です。
アフターピルを購入できる場所
アフターピルは産婦人科クリニックや病院、医院の産婦人科で購入できます。
アフターピルは薬の副作用だけではなく、避妊に失敗した場合の処置等があるため、薬局の薬剤師さんからではなく医療機関の医師からの処方となります。市販の薬局などではアフターピルを購入することはできません。
最近ではレディースクリニックでオンライン診療を受けて緊急避妊薬を受け取ることが可能になりました。緊急用のアフターピルはできるだけ早く服用することが重要ですので、郵送よりも徒歩で直接診察してもらえるアクセスのよい医療機関を受診して、早めに購入して受け取って正しく服用することが大切です。
個人輸入のインターネット通販で、手軽で安いからと海外製のアフターピルを購入するのは避けた方が良いです。その理由として、インターネット上で販売されているアフターピルの中には国内未承認の海外性のピルが多く、偽物を販売している恐れもあり、薬の有効性や服用後の安全性が保証できない為、健康被害にあう可能性もあるからです。
当院でのアフターピルの購入法
当院でアフターピルの処方をご希望の方は、診療時間内にお電話(03-3408-5526)で予約を入れてご来院ください。当院は日曜日、祭日も診療しています。
お急ぎの方にも来院後、外来でお待たせせずにお渡しの対応をさせていただくために、お電話での予約をお願いしております。
来院時に、ご本人確認のために保険証や運転免許証などの身分証明書をご持参いただいております。簡単な問診とバイタルチェック(血圧、体重測定)を行い、服用方法の説明と注意点のお話をさせていただき、問題ないと判断されればアフターピルを処方可能です。
当院でお渡ししているアフターピルは「ノルレボ錠1.5mgジェネリック」で、一般的には「ノルレボ」と呼ばれています。WHOによる緊急避妊のエッセンシャルドラッグ(必要医薬品)に指定されており、日本でも、日本産科婦人科学会などが推奨しています。
アフターピルは保険適用ではなく自費診療となります。値段は初診料、薬剤料、診察料、指導料・税込み、の自費料金になります。お電話でお尋ねください。
アフターピルの種類
現在日本国内で承認されているアフターピル(緊急避妊薬)は、<ノルレボ錠>と<ノルレボ錠ジェネリック>の2種類のみです。
ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べて開発費用を低く抑えることができるため、薬の価格を安価に抑えることができます。
<ノルレボ錠>
1999年にフランスで開発販売され、2012年に日本でも販売が承認されました。黄体ホルモン製剤のレボノルゲストレル(LNG)1.5mgの服用による避妊薬です。
避妊に失敗又は避妊しなかった場合に、72時間以内(3日以内)に1回服用することで妊娠阻止率が80%~84%であったと国内および海外第三相試験で報告されています。
[注] 緊急避妊薬 ノルレボ錠1.5mg 添付文書 あすか製薬株式会社 武田薬品工業株式会社
<ノルレボ錠ジェネリック>
2019年2月より、レボノルゲストレルのジェネリック薬が開発され、「レボネル錠1.5mg」として販売されました。「ノルレボ1.5mg錠」と効果は同じで先発品より価格が安くなりました。
[注] <ノルレボ錠>と<レボノル錠(ノルレボ錠ジェネリック)>を総称して「アフターピルのノルレボ」と言われることがあります。
<ヤッペ法>
1970年代にエチニルエストラジオールとノルゲストレルの配合薬を経口投与するヤッペ法が開発されました。日本では中用量ホルモン剤プラノバールを性行為後72時間以内に2錠服用し12時間後にまた2錠服用する方法で採用されています。ノルレボ錠の代用として使用されていましたが、中用量ピルのため副作用が強いこと、適用外使用であること、避妊効果が70~80%程度とあまり高くないため、現在ではほとんど採用されていません。
<エラワン 30mg>
エラワンはウリプリスタール酢酸エステルというプロゲステロン受容体の調節剤です。排卵を抑制する作用を利用して、セックス行為後120時間(5日)以内に服用することで、避妊の効果が期待できる新しいお薬です。
現在、日本では子宮筋腫や過多月経の治療薬として使われています。妊娠阻止率95%と高く、非妊娠率はノルレボ錠1.5mgと同等です。海外で主流となっていますが、日本ではまだ認可されていない未承認のアフターピルです。今後日本で認可されましたら採用予定ですが、現在のところ当院では取扱いはありません。
[注] ピルとは
アフターピルの避妊の仕組み
避妊に失敗した又は避妊を講じなかった性交後に、72時間以内(3日以内)にアフターピルを服用することで避妊成功率が高くなり、妊娠を回避する可能性が高まります。このようにメリットのあるアフターピルですが、なぜ緊急避妊できるのかの作用機序(薬が治療効果を発揮する仕組み)の理解も必要です。
アフターピルを服用すると、なぜ緊急避妊できるの?
<作用機序>(薬が治療効果を発揮する仕組み)
ノルレボというアフターピルはプロゲステロンが主成分の黄体ホルモン製剤です。低用量ピル(OC)よりも12~30倍の高用量の黄体ホルモンを一度に服用することで、排卵、受精、着床のいずれかを阻止して緊急避妊を行います。
<妊娠の仕組み>
卵巣から卵子が「排卵」すると、排卵後の卵胞が黄体化卵胞となり黄体ホルモンが分泌されます。卵子と、性交渉の射精による精子とが「受精」すると受精卵となり、受精卵は子宮内膜に「着床」して妊娠が成立します。黄体ホルモンは妊娠を維持する働きがあります。「排卵」、「受精」、「着床」という妊娠の3つの段階を経て、妊娠の成立と維持が行われます。
<緊急避妊の作用機序>
・アフターピル「ノルレボ」を排卵前に服用すると、レボノルゲストレルという黄体ホルモンが一過性に血中に増加し、脳の視床下部は排卵後の黄体化卵胞から黄体ホルモンが増加した状態と見なして、「排卵抑制作用」が起こります。この排卵抑制作用がアフターピルによる避妊効果の主な作用機序になります。
・アフターピル「ノルレボ」を排卵後に服用すると、排卵後では黄体化卵胞からの黄体ホルモンが分泌されているため、「ノルレボ」による「排卵抑制作用」はありませんが、「受精阻害作用」と「受精卵着床阻害作用」が関与して緊急避妊します。
・即ち、アフターピルは、妊娠の3段階の「排卵」、「受精」、「着床」、いずれかに作用して、「排卵抑制作用」、「受精阻害作用」、「受精卵着床阻害作用」、のどれかの働きで、緊急避妊作用を行います。
<早く服用すると効果が高い>
アフターピルは排卵する前に服用するとその後の排卵が5日〜7日間抑えられ避妊効果は大きいため、性交後72時間以内の早い時期に服用することが大切です。着床後しばらくしてアフターピルを服用しても効果が薄くなります。
「低用量ピル」と「アフターピル」はどう違うの?
<低用量ピルOCとアフターピルの共通点>
「低用量ピル」は低用量の卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の合剤で、毎日1回、1錠ピルを飲み続けて妊娠に類似した状態を作り出すことで排卵を防止して避妊をします。これを「偽妊娠療法」といいます。
「アフターピル」は一過性に高い濃度の黄体ホルモンを服用することで排卵を抑制します。黄体ホルモンで妊娠と類似の状態を作り出し、排卵抑制作用によって避妊効果が生じることは類似しています。
<低用量ピルOCとアフターピルの違うところ>
「低用量ピル(経口避妊薬ピル)」は毎日低用量のエストロゲンとプロゲステロン(0.05~0.125mg)を服用するため、飲み忘れがない限り高い避妊効果が期待できます。
「アフターピル」はプロゲステロン1.5mgの1回服用だけですので、12~30倍の高用量の黄体ホルモンが必要になり副作用が大きくなります。また、「アフターピル」は排卵後に服用すると効果が下がります。
したがって、アフターピルは排卵する前に服用すると避妊効果が大きいこと。確実に避妊するためには「低用量ピル」の毎日服用の方がおすすめで、「アフターピル」はあくまでも、緊急用の避妊法となります。これが相違点になります。
[注] ピルと避妊
アフターピルに関するよくある質問
アフターピルを服用すると本当に避妊できますか?
性交後72時間以内にレボノルゲストレル製剤1.5mgを1回経口投与した際の妊娠阻止率は84%という報告があります。
アフターピルを服用した時期が、排卵した前か後か、によって、アフターピルによる妊娠阻止率や非妊娠率は影響されます。また、アフターピルを飲んだ後は、服用によってホルモンバランスが一時的に乱れるため生理の時期が予定日から早まったり遅れたり、生理不順が生じることもあります。
妊娠の安全日、危険日ってなんですか?
月経開始日から10日以内は排卵しないので妊娠しにくいため妊娠の「安全日」と言われ、生理開始日から2週間前後に排卵の確率が高まるので妊娠の「危険日」と言われることがあります。しかし、月経周期は人によって異なるのと不正出血と月経が間違いやすいので不正確となります。
アフターピルは予約不要で、もらえますか?
予約しないで来院した日が休診日のことがあります。(当院は水・木が休診日で、臨時の休診日もあります。)
心臓病などのご病気を持っている場合は、アフターピルをお出しできない場合もあります。待ち時間を少なくするためにも、診療内容をつたえて事前予約をいれてご来院されることをおすすめしています。
アフターピル服用に副作用(リスク)はありますか?
上記の<作用機序>で記述したように、アフターピルは低用量ピルより用量が多いため、不正出血、悪心、嘔吐の症状が出ることがあります。しかし、適切に処置をして対処することができます。下記の「アフターピルにより起こりうる副作用」で詳述しています。
避妊ができたか、どのように確認するのですか?
アフターピル服用の有効性の判定は、服用後1週間~3週間に生理様消退出血があったか、または服用後2週間以上経過して市販の尿妊娠検査薬が陰性であること、で判断されます。
消退出血はない時もありますし着床出血と混同することもあり多少不確定ですが、尿妊娠検査薬はより正確な判定方法になります。
アフターピル服用後、3週間以内に生理がくることが避妊成功の一つの目安となります。アフターピルを服用した後の生理は血液量や周期がいつもと違うことが多いため、判断に迷う時は、2週間以降に妊娠検査薬を再度使用するか、または医療機関で確認することをおすすめします。
基礎体温をつけてみることも避妊と妊娠の確認に有効です。
3週間過ぎても月経が来ない場合でも、排卵障害、卵巣のう腫、生理不順などの合併のため生理がおくれていることも多くあります。
ご心配な方は、病医院で尿検査、超音波検査、血液検査、と問診で総合的に判断してもらうと、安心できます。
アフターピル服用後、生理はいつから始まるのですか?
通常、アフターピルを服用後3週間以内には生理が始まることが多いです。生理周期の中で、どのタイミングでアフターピルを服用したかによって次の生理が来る時期が違います。
3週間を超えても、生理がこない場合には避妊に失敗した可能性と、月経不順も考えられますので、妊娠検査薬を再使用するか医療機関の超音波検査、診察で妊娠検査を受けることをおすすめします。
ほかにどのようなピルがあるのですか?
・狭義には、「ピル」とは「経口避妊薬剤」のことになります。この場合、ピルには毎日服用する「低用量経口避妊薬」と「緊急避妊薬アフターピル」になります。
・広義には、「ピル」は「低用量女性ホルモン剤」として使用されることがあり、自費診療の「経口避妊薬」の他に、過多月経、月経困難症(生理痛)、月経前症候群(PMS)、等の保険適用の「低用量エストロゲン/プロゲスチン配合薬」を含むことがあります。
[注] ピルとは
未成年の場合もアフターピルを処方してもらえますか?
低用量ピルは「骨成長が終了していない可能性のある患者」に対しては添付文章上では禁忌となっています。同様にアフターピルの投与も骨成長への影響を考慮する必要があります。
未成年者への投与は、初潮年齢とアフターピルのメリット、デメリットを考慮して投与が決められます。
未成年の場合にものアフターピル処方は可能ですが、詳細はお電話でご相談ください。
アフターピルの副作用、注意点と万が一の際の対応策
アフターピルを服用することで、避妊成功率が高くなるため妊娠を回避する確率も上昇します。メリットのあるアフターピルですが、デメリットの副作用や避妊失敗例の注意点の理解も必要です。
アフターピルにより起こりうる副作用
<アフターピル服用によるトラブル>
日本での臨床試験では72%に何らかの副作用が生じたと報告されています。内服後の主な副作用としては、消退出血(46%)、不正子宮出血(13%)、頭痛(12%)、悪心(9%)、倦怠感(7%)、傾眠(6%)、めまい、嘔吐、等が指摘されています。
一時的で個人差がありますが、大丈夫なように観察を十分に行い、胃薬、吐き気止め、痛み止め、等の適切な処置を行うことが必要です。従来のヤッペ法よりも頭痛、吐き気は少ないようです。
アフターピルの成分はレボノルゲストレルという黄体ホルモン製剤ですので、卵胞ホルモン服用に多い血栓症の後遺症はほとんどありません。
<アフターピルの慎重投与>
・心疾患、腎疾患やその既往歴のある患者さんには慎重投与が必要です。
・肝機能が低下している患者さんには、肝臓への負担になることがあります。
・授乳中は授乳しないことが望ましいです。本剤の投与後24時間は授乳を避けること。
<アフターピル投与の禁忌>
・アフターピルの成分に対して過敏症の既往歴のある女性
・重篤な肝障害のある患者
・妊婦の方には投与しないこと。妊娠初期・妊娠中期に投与した場合には、女性胎児の外性器の男性化又は男児胎児の女性化が起こることがあります。
<併用に注意すること>
・抗けいれん薬等、併用注意の薬剤があります。添付文書をご参照ください。
[注] 「ノルレボ錠1.5mg、添付文書」(製造 あすか製薬株式会社、販売元 武田薬品工業株式会社)
アフターピルの注意点
アフターピルは、避妊措置に失敗した場合に緊急避難的に用いて避妊をする薬剤であって、コンドーム、経口避妊薬ピル、子宮内避妊具(IUD) 、子宮内避妊システム(IUS、ミレーナ)等の計画的に避妊を回避するものではないことを十分に留意して、あくまでも最終手段としておくことが必要です。
その上で、通常の避妊に失敗した場合には、性行為後にすみやかに服用することによって、妊娠率を下げることができる薬剤であることも知っておくことです。
アフターピルと感染症
アフターピルの服用で性感染症は防げません。性病予防にはコンドームを使用することが有効です。 コンドームを装着していなかったり、外れてしまったり、破損してしまったりした場合は妊娠の他に、性病に感染している可能性も出てきます。 産婦人科医療機関で性感染症やHPVウィルス感染が原因の子宮頸がん検診も併せて検査してもらうことをお勧めします。 メリットとデメリットを十分理解して有効活用することがとても大切なことです。 当院では、女性が主体的に避妊できる方法として低用量ピルの服用、子宮内器具(ミレーナ)や、アフターピル、などをおすすめしております。ご希望の患者様は、お気軽にご相談ください。「望まない妊娠」や「異常妊娠」等の、万が一の際の対応法
経口避妊薬ピル、アフターピル、そのほかの避妊装置を使用しても、避妊に失敗して「望まない妊娠」に至ることがあります。
避妊が失敗して妊娠が成立したとしても、アフターピルを服用したことで赤ちゃんへの影響は報告されていません。
妊娠を希望しても、流産、異所性妊娠、などに至る例もあります。また、アフターピルを服用しても、子宮外妊娠や胞状奇胎等の「異常妊娠」に至ることもまれにあります。
「望まない妊娠」や「異常妊娠」となった場合には、中絶手術が必要になることがあります。「中絶手術」や「流産手術」に対しても正確な知識を持ち、「病院選び」、「中絶手術の方法」、「中絶手術の流れ」の正しい理解を持っておくことが大切です。
「望まない妊娠」や「異常妊娠」に気づいた時は、ご家族、パートナーと十分に話し合いをもたれて、できるだけ早く、母体保護法指定医のいる産婦人科の病医院で、妊娠週数と妊娠状態を確認することが大切です。
[注] 子宮外妊娠と異所性妊娠
[注] 中絶と流産の基礎知識
[注] 病院選び
[注] 中絶手術の流れ
[注] 初期中絶手術の方法
[注] 中期中絶手術の方法